山の中の食品工場。(チラシより)
バイトの男女が泊まっている。
山登りに学生時代を費やし、
恋人を失った傷心を引きずったまま、
山で暮らしたい一心で
婿養子に入ったような男が社長では、
経営も順調とは言えない。
バイトの男女もそれぞれが、
自分のことをうまく処理できないでいて、
笑っちゃうくらいだ。
暖冬でちっとも白くならない山。
皆が困りきって見上げる山は
永久に白くなりそうにない予感すらする。
け れ ど い つ か 私 も あ な た も 山 も
白 く な る 。
演劇ユニット昼ノ月は、劇団八時半を主宰していた鈴江俊郎らがその解散後に新しく立ち上げた団体だが、本作は八時半の「むかしここは沼だった。しろく」と良く似ていると感じた。方向性というか雰囲気は八時半とあまり変化したわけではないのかもしれない。
相違点と言えば、八時半の登場人物は研究者や活動家など高学歴な人々だったのに対し、昼ノ月では窃盗犯の囚人や若いフリーターなど、どちらかといえば底辺の人々になっていることだ。わざとそうしているのかどうかは、今後の作品で見極めたい。
いずれにせよ、とても丁寧に作り込まれた芝居である点は変わっていない。本作も観に行って良かったと感じた。
2008/10/26-13:00
演劇ユニット昼ノ月「これは白い山でなく」
アトリエ劇研/前売券2000円
作・演出:鈴江俊郎
出演:二口大学/押谷裕子/梶川貴弘/金森夏江/小高広行/清水陽子/清良砂霧/高橋志保/原聡子/平山ゆず子/柳原良平/山本正典