今宵、自由を盗む。
これは、ある「猫」が見つめた物語。
そして物語は牢獄から始まる。
牢番・太郎が出会ったのは囚われの女・沙金。
女は男の耳元に持ちかける−
「お前の胸を突くから、芝居をして‥‥」
太郎は沙金を逃がした罪で投獄されてしまう。
しかし、ある任務を条件に牢を出ることを許される、
盗賊団「猫の瞳」を密偵せよ。
その盗賊団の御頭こそが、あの沙金だった‥‥。
薔薇の唇。置き去りのアカシア。忘れ花の夜
英雄の肖像。忘れっぽい化け猫。親殺し
自由の女神。崖の端に咲く鬼百合
俺の罪は
(チラシより)
脚本は野田秀樹。どちらかというと私との相性は悪い作家です。今までに観劇した野田戯曲はすべて学生かそれに近い劇団による公演なので、それが原因かもしれません。
今回の公演はチラシの出来がとても良く、かなり金をかけたと思われる物だったので学生劇団とは思いませんでしたが、実際はそれに近い人々のようです。役者は半分以上が客演で、他は学生か卒業直後くらいではないでしょうか。客席も学生風が大半でした。
野田秀樹も学生時代にはバリバリには才能を開花させていたのですから別に学生でも良いのですが、彼の作品を余裕をもって演じることは、大半の学生にとって荷が重いのではないでしょうか。なんとなく、がんばってギリギリ演じているような印象を受けてしまうのです。
荘厳とか妖艶とか悲壮とか、そういうものを表現するのには余裕が必要だと思うのです。まず余裕を感じさせた上での演出がほしい。今回の公演に余裕が感じられたかというと、役者によっては多少感じられたけれど全体としてまだギリギリ感あり、というところ。
2008/07/12-19:30
KOOL MAEDA's Presents「カノン」
in→dependent theatre 2nd/当日券2500円
作:野田秀樹
演出:前田有祐
出演:前田有祐/上野淑子/橋本羽由/斉藤コータ/野倉良太/福井優介/菊池祐太/木村太郎/福井千晶/實川輝南/ogurock/坂本詩音/川面
千晶/森内翔大