2004年08月22日

燐光群「私たちの戦争」

燐光群
「私たちの戦争」
LOST IN THE WAR/BLINDESS
04/8/19
作:マリオ・フラッティ/渡辺修孝/坂手洋二
訳:立木火華子
構成・演出:坂手洋二
出演:中山マリ/川中健次郎/猪熊恒和/下総源太朗/大西孝洋/鴨川てんし/Kameron Steeie/Ivana Catanese/江口敦子/宮島千栄/内海常葉/向井孝成/瀧口修央/工藤清美/裴優宇/久保島隆/杉山英之/小金井篤/亀ヶ谷美也子/塚田菜津子


イラク戦争開戦時、公衆便所に「戦争反対」と落書きしただけで拘留され、軽犯罪法ではなく器物破損罪に問われた青年。米国大使館前で抗議デモを続けていた女性への弾圧。イラクで誘拐された日本人。
アメリカでは、戦闘の負傷で盲目になった復員兵が、死んだ戦友の家族たちを訪ねる。

「ほとんど全てが、フィクションではなく現実なのである。」とリーフレットにあるとおりの内容で実際に起こった出来事をオムニバス風に上演されていく。

正直、こんな演劇もあったのかと思った。事実であるが故、非常に生々しく、そして淡々と上演されていく、演劇の持つメディア性を強く感じた。
非日常的な現実がそこにあり、われわれはもう既に踏み込んでしまっていることに気づかされる。リーフレットでは現在を「戦時下」といっているが、正にその通りだ。自衛隊を派遣している以上、対岸の火事ではすまない。
私たちは真実についてどれだけ知っているというのだろうか。真実や事実は求めないと手に入れられない。あまりにも知らないことが多過ぎて、わけもわからず手が震え泣いていた。
この劇は現在進行形である。

戦争に対してどの様に向き合うかを考えさせられた、少なくとも戦争反対を訴える事ができない世の中にだけはしたくない。そうでなければ人間の歴史とはなんだったというのか。

ただ、Blindnessはお国柄が異なるせいか違和感があった。ドキュメンタリー調だったのが急に芝居に引き戻された感じ。これはアメリカ人と軍隊との関わりが日本人とは決定的に異なることと、観る側(私)に文化的な知見が足りないことが原因かもしれない。

(しおこんぶ)

(#10注:訳者の立木さんの名前「火華子」は「火華」が一字ですがJIS外のためこのように表記させていただきました。出演者の裴優宇さんの「裴」は正しくは亠が非の上にある字体ですが、JIS外のため裴で代用させていただきました)


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燐光群「だるまさんがころんだ」

燐光群
「だるまさんがころんだ」
天白文化小劇場
04/8/18-19
作・演出:坂手洋二
出演:中山マリ/川中健次郎/猪熊恒和/下総源太朗/大西孝洋/鴨川てんし/江口敦子/宮島千栄/Kameron Steele/Ivana Catanese/樋尾麻衣子/宇賀神範子/内海常葉/向井孝成/瀧口修央/工藤清美/裴優宇/桐畑理佳/久保島隆/杉山英之/小金井篤/亀ヶ谷美也子/塚田菜津子


派兵先の戦場で地雷原を歩き続ける自衛官コンビ、地雷入手の命令を親分から受け地雷を探す旅にでるヤクザ、地雷撤去に憧れを抱く女性の「冒険」、地雷製造会社で働く父親と家族の日常、増え続ける地雷のために村を追われた難民の物語……。
「地雷」をめぐる様々な物語が交錯する。いま、名前や形を変え世界中に存在する子供達の遊び「だるまさんがころんだ」が、戦場の現実を堪え忍ぶ人々の祈りとして再生する……。

戦争という大きな枠組みではなく戦争兵器である地雷という絞込みをしたことで、より具体的で現実的に感じることができた。重たい話のように思えるがシンプルで非常にとっつきやすい作品だと思う。(ただし、心臓の弱い人にはお勧めしない)

当日のリーフレットに「多くの嘘のような事実によって構成されている」とあり、笑えない現実を突きつけられ背筋が凍るような思いがするが、ラストシーンを観ていると世界平和は決して難しいものではないと目頭が熱くなった。
個人個人は仲良くできるのに、国と国は仲良くできない、現実の馬鹿馬鹿しさに憤りを感じずにいられなくなった。
今後、数百年、数千年に渡って世界各国で上演して欲しいと思う良作。
?「
(しおこんぶ)

(#10注:出演者の裴優宇さんの「裴」は正しくは亠が非の上にある字体ですが、JIS外のため裴で代用させていただきました)。
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2004年08月18日

劇団とりあえずプレゼンツ「蒲田行進曲」

劇団とりあえずプレゼンツ ドラゴンプロジェクトIII
「蒲田行進曲」
七ツ寺共同スタジオ
04/08/14-15
作:つかこうへい
演出:盗賊頭
出演:渡辺浩司/夏風雅/瀬名祥太郎/加藤良樹/草野浩之/山口鉄也/吉本きまた治/池山正樹/他


京都撮影所の大部屋役者・ヤスはスターの銀ちゃんから妊娠した恋人・小夏と結婚するよう要求される。やがて彼女と結ばれ、彼女と生まれてくる赤ん坊のために仕事に燃えるヤスだったが…。

蒲田行進曲である。階段落ちである。
ヤス、銀、小夏の心の動きは良かったが、階段落ちに対する恐怖がちょっと弱かったように思う。死への恐怖、新しい命への責任、この二つのバランスがとれているから心が動くと思うのだが、やや消化不良の感。

銀ちゃん役の池山さんはキャラクター的には合っていそうだが、今一色気がなかったのが残念。最初から最後まで新人の役者という印象のままで終わってしまった。
どうしても深作欣二監督の映画の印象が強くなってしまう作品だけにラストはもう少し変えてもよかったのではと感じた。

(しおこんぶ)
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アーノルド.S.ネッガーエクスプロージョンシステム「マリーの結婚相談所」

アーノルド.S.ネッガーエクスプロージョンシステム
「マリーの結婚相談所」
東文化小劇場
04/08/14-15
作・演出:シルベスタ・カヒローン
出演:石田なをみち/一丸博昭/大和田忍/加藤真/鎌田真紀/川村晃一/鮫島順一郎/鈴木克哉/鈴木祐子/内藤瑛亮/南雲栄作/牧野謙/山下有美/よしかわさやか


あまり流行らない「マリーの結婚相談所」、720時間テレビの生中継に割り込み、相談所の宣伝を行う。その中継を見てゲイの男、結婚後の悩みを相談に来る夫婦や邪魔された事を怒るテレビレポーターが押しかけてくる。ところでマリーって誰だ?13年に一度生まれる蛍は中継できるのか?マラソンはどうなる?

全体的に小ネタが多く大笑いはできないが、クスッと笑える感じ。平田オリザの「リアルさが足りない」とかマニアックなネタも多く、判る人がいるのか心配になるものもあった。「ハードロックが好きな障害者がいてもいいじゃない」とサラリと織り込んでみたり実は社会派なのかもしれない。
ちなみに、今年アメリカ東部で17年周期で大発生する蝉の当たり年だそうで、他にも13年周期で大発生する蝉もいるらしい。蛍の出所はこの辺りか?また、お盆の上演ということで広島に原爆を落とした爆撃機の名前がエノラ・ゲイ、でゲイを出したとか?ここまでいくと流石に考えすぎか。

役者の動き(リアクション含む)が普通過ぎてピンとこなかった。もっと判りやすい動きのキャラクターがいても良かったと思うが、セリフだけで笑わせようとするのが見えちゃうと何を言ってもつまらなくなってしまう。そんな中で、加藤さんと大和田さんはキャラクターがはっきりしていて良かった。

(しおこんぶ)
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劇団愛の狩人「Ω反魂の牙」

劇団愛の狩人
「Ω反魂の牙」
ひまわりホール
04/08/14-15
作・演出:柊アキラ
出演:黒部聡/柊アキラ/じゅん/野畑幸治/松尾有香/山本綾佳/古井慎也/米丸茜/杉浦紀行


時は2059年、かつて大和とよばれし国「楽園」と名高い街があるという。その街にいけば、死人と化した者も甦るのだというのだ。
愛する者を失った人々はみな、骨を抱いて、その街を目指す。

ラスト公演ということで好きなことを目一杯やったと言うように、いかにも我儘なストーリーだった。人ならざる力を持つ者たちが墓泥棒を取り逃がしたり、墓泥棒が死人を生き返らせようとして骨を盗むってのもよく解らない。世界観が見えてこないままストーリーが進んでいくため、ご都合主義な感じが拭えない。

役者さんでは、思い切った演技で子供っぽさと狂気を表現した松尾さんと、山本さんの強さと弱さ、戸惑いの感情を良く伝えた表情が良かった。男優陣は骨太で迫力があるが、あまり表情がなかったのが残念。

(しおこんぶ)
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(有)ともだち「Cafe ステイション ケンジ」

(有)ともだち
「Cafe ステイション ケンジ」
愛知芸術劇場小ホール
04/08/10-12
作・演出:北村想
出演:伊沢勉/黒川慶一/深山義夫/木村庄之助/西山諒/久川徳明/知嶋大貴/福井博章/梅林憲太/堤里砂/青山晃子/阿部一恵/服部朋之/手塚功二郎/中野敬裕/宮田大輔/佐藤陽子/神山千佳/馬場美恵子/渡部陽子/鈴木恵理/久野智美/國井美佐/西脇真穂/大津有加里/安江明日香/山住悠/伊左治麻里/伊藤麻子/松本優子


宮沢賢治が37年の生涯を終えて、自らあの世に向かう汽車に乗り込む、その待合室(また汽車そのもの)での彼の回想をステージ中の劇中劇として上演。

劇中劇ということではあったが、内容的にはいわゆる死ぬ前に今までの人生が走馬灯のようにというあれだろう。この場合は人生ではなく宮沢賢治が作った作品の登場人物たちが次々と舞台上に立つ。

多くの役者さんを器用し贅沢な舞台ではあったが劇中劇でおこなわれる芝居に必然性は感じられない。宮沢賢治の作品を紹介しようという趣旨であればまだ判るが、演劇でそれをやられてもなぁというのが正直な感想。ただ、宮沢賢治の文章はやはり凄いなとは感じた。舞台上のセリフよりも宮沢賢治の言葉、文章の方が印象に残った。
ラストのいい人生だったというセリフが全て、あそこまで言い切られるといっそ清々しい。人生の最後でいい人生だったといえるように努力しようと思わせる。

(しおこんぶ)
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2004年08月15日

よこしまブロッコリー「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」

よこしまブロッコリー
「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」
愛知県芸術劇場小ホール
04/08/14-15
作・演出:にへいたかひろ
出演:関戸哲也/中尾達也/浅野まど香/川畑沙織/平野百合江/黒田郁美/古川聖二/井池泰紀/大矢武志/澤村一間/野口真理/坂本紀子/阿部優也


 ある晩ヒサウチが家に帰ると見知らぬ娘がいた。何を聞いてもタダイマしか言わない彼女は、新しくはじめたデリヘルの女の子だと友人のカトーは言うが、帰る場所がわからない。一方、ヒサウチの弟は兵士として砂漠の国に派遣され、遭難して現地の部族の神殿に運び込まれていた。言葉の通じない相手と必死で意思疎通を図るが、やがてその村に軍の攻撃が始まる。

 面白かった。明確なドラマがあるわけではなく、二つの場所で起こる出来事が淡々と描かれているような舞台だが、何かが伝わってくる。随所に盛り込まれたギャグは素直に笑える。そして全編を通じて流れるのどかな、でもどこかに切なさを残す空気感は絶妙。

 日本で少しだけアウトローな生活を送る兄の元に現れた異国の娘と、言葉の通じない異国で捕らわれた弟。遠く離れた兄弟に並行して起こる非日常な出来事。自然体の演技に照明や音響の巧みさも手伝って、非常に心地よい雰囲気を生み出していた。特別ぬきんでた部分があったわけではないが、でしゃばらずすっきりと伝わってくる芝居だった。終わった後、もうしばらくその世界に浸っていたいと思った。

 あえて難を言えば、エンディングが素っ気無さすぎ。時節柄ビミョーにイラクを彷彿とさせるが展開上はあまり関係ない。娘の出身と弟のいる国が同じなのだが、結局それも特に意味を持つことなく終わる。え、これで終わり?と拍子抜けするほどクライマックスがない。無理に盛り上げるよりは好感が持てるが、もう少し結末らしい結末があってくれたほうが見やすいと思った。

 ただ逆に言えば、この状態で作品を完成にできるのは作り手に相当な自信があるということかもしれない。そして、その自信は決してうぬぼれではないと思う。

(#10)
posted by #10 at 01:39| Comment(2) | TrackBack(2) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tres production「スロウ・カーヴ」

Tres production
「スロウ・カーヴ」
K.D Jaopn
04/08/12-13
作:吉村八月
演出:深未ゆえ
出演:あおい/大塚峰春/加藤裕子/木村仁美/田中美和/とみィ/茂手木桜子/渡辺真輔


『ドッグ・ハウス』取り壊されることになった家にまつわる記憶と今の自分達。
『ネームド・エリック。(エリックと呼ばれて)』奇妙なあだ名の由来と二人の関係。
『五年ぶりにセックスした。』飲み会で意気投合した変な女とホテルに行った話。
『アルファロメオ・ジュリエッタ。』外車のエンブレムを盗んでまわった小学生の頃の思い出。
『オーファンズ。』反目しあいながらも似ている異母姉妹。
・・・ちょっと切なくほろ苦い、だけど心温まる5つのエピソードから成る朗読劇。

 会場となったK.D Japonは鶴舞駅近くのガード下にある、こじんまりしたカフェバー。ライブハウスとして使われることの多いこの店は、動き回る芝居には少々狭すぎる代わり、このような朗読劇にはちょうどよいサイズ。普通の演劇とはかなり趣向が違うものの、なんとも心地よい空間が創られた。

 どの役者も実にいい声をしていた。声に表情があるとはこういうことかと感心する。会場がガード下のため、数分おきに頭上を電車が走る音がするのだが、それで聞き取りづらくなることは皆無だった。また、3次元的な構造を持つ会場をうまく使い、役者は前後左右上下に陣取る。役者が客席を囲む形で配置されることで、否応なく作品の空間に飲み込まれていく。

 舞台と客席の境界が曖昧なことに加え、多くの演劇関係者が客として集まっていたのが印象的。贅沢な時間を過ごすことが出来た。

(#10)
posted by #10 at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月10日

集中チ療室「狂ったホテル」

集中チ療室
「狂ったホテル」〜隣人はすっげぇ笑う〜
天白文化小劇場
04/08/07-08
作・構成:サコー
演出:サコー/間拓哉
出演:ありさ/仲村宙矢/近藤一隆/吉田渉/ヒート猛/ロミ1031/間拓哉/サコ−/箕浦花絵


ストーリー
 チャペルのある会員制ホテルに勤める駿の下に先輩から幼馴染と結婚するからチャペルを借りたい旨の連絡がある。しかし、急な結婚式で友人にも連絡しておらず出席者はゼロ、先輩の結婚式を盛り上げようと、そのホテルに宿泊している元直木賞作家で現エロ小説作家の先生と張り込み中の探偵の男女1組を結婚式に出席させようとするのだが。。。

 集中チ療室さんは初めて観に行ったが、正直にいうと期待はずれだった。いや内容はそれほど悪くは無いのだが、、、芝居を観に行くというよりバラエティーを観に行くと思った方がいい。お笑い番組をみるつもりがみるつもりで笑っていいともを見てしまった感じに近いといえば判りやすいか?
 要するにお客が良すぎるのだ。なにをやっても笑ってくれるそんな感じ。初めて観る人が笑える内容になっているとはとても思えない。会場は大爆笑しているが何処が面白いのか全然判らなかった。極端に言えば疎外感すら感じた。
 つまり登場人物のキャラクターが弱いのを役者の力量でカバーしている感じ。役者のキャラクターが面白いのであって登場人物が面白い訳ではない。(私のお笑いに対する感性がおかしくなければの話だが)
 観客は劇中の役名より役者の名前を覚えているのではないだろうか。同じストーリーをまったく違う無名の役者が演じたらあんな爆笑は起こらないと思う。なので初めて観た人(役者のことを全く知らない人)は何が面白いのか判らない。笑えたのはラストシーンくらいか。公演後のカーテンコールも内容云々ではなく予定されたものだった印象が強い。

 歌、ダンスなど上手いなと思うものもあったが脈絡とかストーリーに関係はなくいきなり始まっちゃうので訳が判らない。
事前に観客に好きなことを自由に書いてもらい、それをつなげて即興で芝居にするという(これもストーリーとはほぼ関係ない)ことも行っていたが、こうなると公演というよりイベントに近い。(ちなみに私が書いたのも使われたが観客参加型のイベントとしては面白いと思う)

(しおこんぶ)
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2004年08月09日

E-style「有毒少女」

E-style
「有毒少女」
七ツ寺共同スタジオ
04/08/07-08
作・演出:遠藤のりあき
出演:河村梓/眞弓梓/竹田啓子/今枝千恵子/柏田有璃/木村萌/足立盟/西尾知里/清水美穂/浦麗/西泉/采野七待/新垣秀和/清水やすひろ/磯部うに/小川麻美


 黒の国と白の国に分かれて争う世界。毒を持つ白の姫の心臓を食った女は、同じく毒を持つ不老不死の双子を産み落とす。二人の娘は別々の国で育てられるが、白の国で暮らすナナシはその力を狙う何物かに追われることになる。多くの人々を巻き込みながらやがて二人は黒の国で再会するが・・・。

 主人公である双子を取り巻く多くの登場人物がそれぞれにエピソードを持ちつつ絡み合い、収束するらせんを描くように結末に向かって突き進む。時代や国は架空のものだが、繰り広げられるのは等身大の(でもドロドロした)人間関係であり、多様なキャラクターがいることで感情移入はしやすかったと思う。

 ただ、前半は複数の物語が並行する上に展開が小刻みで早いため、話に付いて行くのが大変だった。最終的にはまとまっていくのだが、主人公とそれ以外の描き方に濃淡が乏しいため、漫然と見ていると物語の中心線を見失いかける。また、演技で表現される状況と言葉で語られる背景のスケールに差がありすぎてギャップを感じた。

 出演者の大半が女優の上、キャバレーや娼婦街を舞台とするなどエロチックな描写が目立ったが、そういう演出が作品の中でどんな意味を持っているのかよくわからなかった(目の保養にはなるけれど、セクシーダンスが見たければそういう店に行くよ・・・)。雰囲気を出すための手法としては安直だと思う。

 役者では、以前から注目していた今枝千恵子の他、今回初めて観た新垣秀和の演技が良かった。今後に期待。

(#10)
posted by #10 at 01:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月07日

ランニングシアターダッシュ「POOL」

ランニングシアターダッシュ
「POOL」
長久手町文化の家
04/8/6
作・演出:大塚雅史
出演:宮腰健司/上瀧昇一郎/浅野彰一/安宅慶太/平本光司/岡部尚子/川下祐樹/斉藤ゆき/木村恭子/前田亜衣/葉山聖/安村麻衣子/藤井麻美/佐藤太一郎/徳本憲治/大澤信之/西浦英之/西山明子/佐久間京子


ストーリー
 夜間高校に通う生徒4人が学校のアイドルでシンクロ部のナミと仲良くなるため、元オリンピック候補であった先生を顧問にして水泳部を作った。しかし、学校のプールには照明がないため練習ができない!そんな時、ナミを思う水泳部員の磯島と諍いになりプールの使用権をかけて全日制水泳部と勝負することに。プールが使えない彼らは演劇少年の力をかりてイメージで練習することに。。。

 舞台装置といったものはほとんど無く役者たちが体で表現していく。照明の美しさは特にすばらしかった。ただ光をあてるだけでなく、闇や影を創ることで、より光を強調していた。
 出演者がやたらと多いが主要登場人物のキャラクターはハッキリしており漫画や映画に近い。ストーリー展開などはかなり無理があるのだが、それ以上に強烈なキャラクターが登場するため苦にはならない。演劇少年って(笑)
ラスト近くの全キャストが総出演して少年を励ますシーンには迫力と感動があった。
終演後、拍手がなかなかやまずなかった、小演劇でカーテンコールが起こったのは初めてだったが納得できる内容だった。今後も定期的に名古屋に来て欲しい。

 大阪の劇団は初めて観るが、とにかく笑わせてもらった。パワーがあり何より役者さんが楽しそうで、力いっぱい演じており観ていて気持ちが良かった。
全体のストーリーは安直(学生向けかも)で、どこかで聞いたような話がてんこ盛りな感じもするが、熱血スポーツ、ハッピーエンド系で誰が観ても楽しめる。(私のようなひねくれ者には向かない、でも十分に笑える)

(しおこんぶ)
posted by #10 at 20:52| Comment(1) | TrackBack(1) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月04日

トクプロ「ゾウの鼻歌」

(公演詳細は前出参照)

 ラストの自転車を修理している姿は言葉ではなく行動によって娘が成長したことを表す爽快感のある良いシーンだった。
ただ、娘の感情のスタート地点?が不明確であるため、なんとなく良い話ではあるがすっきりしないのではないだろうか。
娘が更生した流れは、夫がアザラシになってしまった女(今にも肉親を殺されようとしている)をみて自分の不幸の小ささに気づく、その不幸な女に高額で購入したゾウの置物が実は1万円程度の安物だったことをあっさり見抜かれ自分の不甲斐なさに気づく、肉親の為にあんなに必死になれることに何かを感じ取る(家族愛)。普段遊んでばかりいる(ようにみえる)父親が自分のために結婚資金を貯めてくれていたことを知り自分も愛されている事を知る、と、こんなところか?(全然違うかもしれないが)とにかく娘が何に対して不幸を感じているのかが不明確であるためすっきりしない感じがする。
推測するに父親との確執あたりが娘の不幸なのかな?普通、父親と年頃の娘は仲良くないものである。であるならば、もっと決定的な心のすれ違いが描かれないと判り難い。娘が10年に一人の自転車修理の天才だが家を継ぐのがイヤだとか、好きな男との結婚を父親が認めてくれなかったとかグレるきっかけが垣間見られればよかった。

(しおこんぶ)
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青年団・五反田団「忠臣蔵・OL編」「ヤルタ会談」「家が遠い」

(公演詳細は前出参照)

「忠臣蔵OL編」
 OL編ということで食事を取りながら重要な議論を進めていくというのはいかにも女性らしい。
内容は忠臣蔵だが現代風味が利いていて大石が中間管理職といったところ。
 で、議論が収束する頃にはみんなしっかり食事を終わらせているあたりも流石。
忠臣蔵が有名になったのはやはり時代背景の影響もあると思う。忠孝や武士道が希薄になっている時勢に仇討ちをしたから有名になった。つまりそういった時代にあって当の本人たち(赤穂浪士ら)はどの様な話し合いの経緯で討ち入りしようとなったのか?当然葛藤もあっただろう。そのあたりを見事に抽出し、悲壮感を取り除いて時代を飛び越えさせた。
修学旅行編も観たい。

「ヤルタ会談」
 多少の歴史的な知識が必要だが十分面白かった。世の中のことは驚くほど少数の人間に決められているという現実を風刺しされていて単なるパロディにとどまらない。個人的にはガンジーのくだりが面白かった。大国からみた世界、他の国からみた日本という視点も面白い、外国人が観たらどう思うんだろう。

「家が遠い」
凄いグダグダ感だが、言葉と言葉の間にいろいろな言葉があるようでなんとも不思議な空気感を作り出す。あのニュアンスと間は秀逸。一見グダグダにみえるがしっかりと演出されていて隙がない。紐がついているお金を追いかけるように引き込まれていった。
ボキャブラリーが少ないことが精神的な未熟さ、社会性の低さを絶妙に表し、どうみても中学生には見えない役者が、舞台上ではまぎれもない思春期真っ只中の中学生を演じている。セリフが少なくても、なんとなく伝わってしまうところも見事。

ここからは個人的な見解というかイメージ。(人によっては異なる捉え方もあるし無理に捉える必要もないこと)
ビルの屋上にいる大人(自殺志願者?)との距離が彼らと社会との距離感を表し、上から投げ落とされた物にお墓を造るのも大人への反抗と捉えるのはチョット考えすぎか。ビルの中の社会からはじき出されて屋上にいる大人に自分の将来を重ねて怯えているのかもしれない。
トミーという動かない同級生(人形)は、皆と違い卒業後就職しなくてはならない、親という大人が与えたものに対する反抗として動かない。トミーは何かと闘っている。きっと不条理な世の中とだ。そんな気がした。
役者が人形に感情を吹き込もうと試行錯誤して、最後に舞台上に残る哀愁は、その試みが成功していることの表れか。

(しおこんぶ)
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2004年08月03日

Σproject「Heart」

Σproject
「Heart」
原作:眞己薫「PALINGENESIS〜再生〜」
作・演出:松本裕士
出演:宮村敬太/岸本昌子/新山貴浩/松山裕士


ストーリー
 心臓移植を受けた経験のある外科医「相沢透」は恋人で心臓に病気を持っている「夏美」を救うため、心臓手術の権威である「喜多島」に師事する。ある日「夏美」の知人である刑事の「村上哲」が二人の同居先に現れ、最近発生している連続殺人事件の犯人が医学的知識を持っていることから「相沢透」を疑っていることを明かす。

細かな部分はともかくとして、脚本の流れは面白い、特に後半の悲劇の連鎖はどうなるんだろう?と思わず手に汗を握った。恋人を汚された上、母子共に生命の危機に晒される、その原因を作った男に自分の人生をささげ妻と子供を助けるか、それとも妻と子が死んでいくのを見守るか。最悪の2択を迫られる相沢の苦悩とか憤りはもっと激しく表現されてもよかった。
また、夏美が手術を拒絶するときにお腹の子供のことを考え、悪魔に身をゆだねようと一瞬でも思わなかったか。個人的にはこのあたりを山場にして欲しかった。 
あくまでコメディーとなっていたが、ボケ役?が新山さんだけではコメディーとは評し辛いし悲劇として十分成り立つだけの面白味があった。ちなみに、新山さんはコミカルで存在感もあるので今後も楽しみ。
主題歌も自分たちで作成されたようで、なかなか良い出来でした。

(しおこんぶ)
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ロードブラザーズ「Summer Road 2004」

ロードブラザーズ
「Summer Road 2004」
作・演出:児玉俊介
出演:長尾裕子/林堅太郎/児玉俊介


ストーリー
 キャバレーの兄弟芸人をしているサンダとガイラ。今の生活から抜け出すため、また、ボスの娘と駆け落ちするため店の金を奪って逃走する弟とそれに巻き込まれる兄、逃走の途中、車の故障で立ち往生していた修道院のシスターを助けることに。

弟のガイラが置いてきてしまった恋人を助けるため引き返そうとするのだが思い直し、シスターを助けることを優先する。駆け落ちしようとした恋人と、会って間もないシスター、普通どっちを優先する?シスターを助けるだけの根拠がない、駆け落ちするというシチュエーション自体が必要ないのではと思う。
冒頭の歌(ブルース)の歌唱力はなかなか良かった、テンポも、照明の使い方も特に悪くはなかった。5年前の作品の再演とのことだが、過去の作品を上演する場合、当時の粗なども目に付くのだろうが、あえてそのまま上演したか、直し方を失敗したかのどちらかと思いたい。私はこの劇団は初見、現在の作品が観たい。

 観劇後に抽選で1名の方にスタッフTシャツプレゼントがあった。なかなか良いデザインでファンには嬉しい企画。

(しおこんぶ)
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新ライターのお知らせ

 「名古屋の小演劇インプレッション」のライターとして、しおこんぶさんに参加していただくことになりました。このページに多くのコメントを寄せて下さった上、私(#10)が観ていない作品もたくさん観ている方です。

 これまでは私が書いた記事に対してコメントを付けてもらう形でしたので、私が観ていない作品は取り上げることができないという問題がありました。そこで元記事のライターになってもらえないかしおこんぶさんに打診したところ、快諾いただいたという次第です。

 今後は記事の最後に名前を入れてライターを示します。同じ作品でも異なる視点から書かれることで幅が広がると思いますので、ご期待ください。

 ちなみに、さらにライターを増やしたいと考えています。色々な視点からの意見があった方が良いと思うので。書いてみたいという方がいらしたら、立候補お待ちしています。

(#10)
posted by #10 at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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