NGKプロデュース
「彼女の愛した百鬼夜行」
愛知県芸術劇場小ホール
04/04/02-04
作・演出:竹内佑
出演:酒井アンナ/河村梓/市川幸代/浦麗/ギャリソン外城田/井上純徳/渡邊有紀/山下有美/山川美咲/相良真/横田亜矢子/杉本たみ子/村里春奈/堀江勇気/須川渡/石井雄介/中西洋介/川村晃一/杉本雪子/小山裕紀恵/古澤健二/木内貴大/加藤恵代/伊達朋香/来々舞子/竹渓潤 アリスと百鬼の双子は、03地区と06地区に挟まれて戦争状態にある052地区で生まれた。2人は生まれる時に呪いを掛けられ、アリスは幸運を呼ぶが急速に歳をとり、百鬼は不幸を呼ぶが歳をとらない。百鬼は捨てられた先で出会ったフーガという娘の不思議な力で体を手に入れるが、不幸を招く力を武器にできると考えた兵士達に追われる。
前回のNGKプロデュース公演(仔犬、大怪我)に比べるとかなり良くなったと思うが、それでも不満が残った。つまらなかったということではなく、もっと良いものができたはずだという不満だ。
本筋の物語はよくできていたと思う。同じ作家による前作では、伏線を張るだけ張って放り出したような感があったのだが、今回はちゃんと収束していた。笑い所では充分に笑えた。また、前作の感想で私は「もしこの人数で一糸乱れぬ群舞でも見せてくれれば圧巻だったろう」と書いたのだが、今回はまさしくそれが実現していた。前作を上回る数の役者が一堂に会して歌い踊る様子はまさに圧巻だった。
しかしながら、学園祭的な悪ふざけの部分(演劇というより舞台イベント的な演出)が少なからず含まれていたことで魅力が半減した。それが好きだと言う人がいるかもしれないが、それは出演者の身内だけではないか。ゲストトークにしても、そのゲストを知らない観客には付いて行けない。緊張の続く作品なら息抜き的にそういう部分を混ぜても良いが、この作品は基本的にナンセンスギャグなのだから、あえて弛緩させる必要はなかったと思う。
人が毎年入れ替わる学生演劇においては、年々進歩するというのは難しいかもしれない。しかし去年に比べて今年の方が良くなったからには、きっと来年はもっと良いものを見せてもらえると期待する。